「週に何セットやればいいの?」——筋トレを始めた人なら、一度は考える疑問です。SNS では「最低20セット」「いや10セットで十分」と、さまざまな意見が飛び交っています。この記事では、実際の研究データをもとに、あなた自身に合ったボリュームの見つけ方を整理します。
研究が示す推奨セット数
筋肥大とトレーニングボリュームの関係について、もっとも引用される研究のひとつが Schoenfeld らのメタ分析です。
Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW (2017). Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass: A systematic review and meta-analysis. Journal of Sports Sciences, 35(11), 1073-1082.
PubMed →この研究では、1部位あたり週10セット以上のグループが、週10セット未満のグループに比べて有意に大きな筋肥大を示しました。ただし、これはあくまで「グループ平均」の話であり、すべての人に当てはまる魔法の数字ではありません。
個人差を考慮する
トレーニングボリュームを考えるうえで役立つのが、以下の3つの概念です。
- MEV(Minimum Effective Volume):筋肥大が起き始める最小ボリューム
- MAV(Maximum Adaptive Volume):もっとも効率よく成長が見込める範囲
- MRV(Maximum Recoverable Volume):回復できる上限ボリューム
Israetel M, Hoffmann J, Smith CW (2021). Scientific Principles of Hypertrophy Training. Renaissance Periodization.
PubMed →多くの中級者にとって、1部位あたり週10〜20セットが MAV の範囲に収まることが多いとされています。しかし、トレーニング歴・栄養・睡眠・ストレスなど、回復に影響する要因は人それぞれ。「最適」を探すより、「自分にとって効果的で、続けられる範囲」を見つけることが大切です。
価値に向かうボリューム管理
セット数を増やすこと自体が目的ではありません。「健康でいたい」「身体を通じて自分を大切にしたい」——あなたがトレーニングを続ける理由(価値)に立ち返ると、ボリュームは価値に向かって歩くためのツールだとわかります。回復を無視して追い込むことは、短期的な数字のためにあなたの価値を犠牲にすることかもしれません。
ボリュームを増やすか減らすかの判断に迷ったときは、「この選択は、自分の価値に沿っているだろうか?」と問いかけてみてください。ACT に基づくウィリングネスの考え方も、日々の判断に役立ちます。
実践的なアプローチ
まずは1部位あたり週10セットから始めて、2〜4週間ごとに反応を観察しましょう。筋力が伸びている・筋肉痛が回復できている・関節に違和感がない、という状態であれば、1〜2セットずつ追加を検討できます。
具体的なステップは以下のとおりです。
- 記録をつける — 各部位の週間セット数を把握する
- 回復を観察する — 翌日以降のパフォーマンスや体調をチェック
- 小さく調整する — 一度に大幅に増やさず、1〜2セットずつ変化させる
- 長期で判断する — 1回のセッションではなく、4〜8週間のトレンドで評価する
数字に振り回されるのではなく、自分の身体と対話しながらボリュームを選んでいく。それが、エビデンスを「自分のもの」にするということです。
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