「3秒で下ろして、1秒止めて、2秒で上げる」——テンポを指定されたトレーニングプログラムを見たことはありますか?挙上速度をコントロールする「テンポトレーニング」は、一部のトレーナーに強く推奨されている一方で、「気にしなくていい」という意見もあります。
実際のところ、テンポは筋肥大にどう影響するのでしょうか。
テンポ表記の読み方
テンポは通常、4つの数字で表記されます。例: 3-1-2-0
| 数字 | フェーズ | 例(ベンチプレス) |
|---|---|---|
| 3 | エキセントリック(下ろす) | 3秒かけて胸まで下ろす |
| 1 | ボトムのポーズ | 胸の位置で1秒止める |
| 2 | コンセントリック(上げる) | 2秒かけて押し上げる |
| 0 | トップのポーズ | 止めずにすぐ次のレップへ |
研究が示すテンポと筋肥大の関係
Schoenfeld BJ, Ogborn DI, Krieger JW (2015). Effect of repetition duration during resistance training on muscle hypertrophy: A systematic review and meta-analysis. Sports Medicine, 45(4), 577-585.
PubMed →Schoenfeldらのメタ分析では、1レップあたり0.5〜8秒の範囲では、テンポによる筋肥大の差はほとんどないという結論が出ています。
ただし、10秒以上の極端にゆっくりしたテンポ(スーパースロー)は、負荷が軽くなりすぎて筋肥大には不利とされています。
テンポを意識するメリット
研究では大差がないとはいえ、テンポを意識することにはいくつかの実践的なメリットがあります。
1. フォームの改善
ゆっくり動かすと、動作のエラー(反動の使用、代償動作)に気づきやすくなります。初心者がフォームを身につける段階では、テンポコントロールは非常に有効です。
2. マインドマッスルコネクション
セット間休息の記事でも触れましたが、意識的に動作をコントロールすることで、ターゲットの筋肉への意識が高まります。
3. エキセントリックの恩恵
2〜4秒のエキセントリック(下ろし)を意識することで、エキセントリック収縮のメリットを引き出せます。
4. 怪我の予防
コントロールされた動作は、反動や慣性による怪我のリスクを軽減します。
実践的なガイドライン
テンポにこだわりすぎる必要はありませんが、以下のシンプルなルールが参考になります。
- 下ろす動作(エキセントリック): 2〜3秒程度でコントロール
- 上げる動作(コンセントリック): 意図的にゆっくりにする必要はない。爆発的に、でもコントロールを失わない速度で
- ポーズ: 必須ではないが、ボトムで0.5〜1秒止めると反動を排除できる
週間セット数の管理においても、テンポを極端に遅くするとセットの所要時間が大幅に増え、トレーニング全体の効率が下がる可能性がある点は注意が必要です。
まとめ
- テンポが筋肥大に与える影響は、通常の範囲(0.5〜8秒/レップ)ではほとんど差がありません
- ただし、テンポを意識することでフォーム改善やマインドマッスルコネクション向上のメリットがあります
- エキセントリック(下ろし)は2〜3秒でコントロール、コンセントリック(上げ)は爆発的でOK
- 極端なスローテンポ(10秒+/レップ)は筋肥大に不利です
- テンポは「目的」ではなく「ツール」として、必要に応じて活用しましょう
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