「トレーニング後30分以内にプロテインを飲まないと意味がない」——こんな話を聞いたことがあるかもしれません。でも、最近の研究では、この「アナボリックウィンドウ」の考え方はかなり見直されています。
今回は、トレーニング前後の栄養摂取について、現在のエビデンスを整理してみます。
「アナボリックウィンドウ」の真実
Schoenfeld BJ, Aragon AA, Krieger JW (2013). The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 10(1), 53.
PubMed →このメタ分析の結論は明確です。プロテイン摂取のタイミングそのものよりも、1日の総タンパク質摂取量の方が筋肥大に重要だということ。
つまり、トレーニング直後にプロテインを飲むこと自体は悪くありませんが、「30分以内に飲まないと効果がゼロになる」というのは誇張です。
トレーニング前の栄養
目的
- トレーニング中のエネルギーを確保する
- 筋分解を抑制する
- パフォーマンスを維持する
推奨する食事内容
| タイミング | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 2〜3時間前 | 通常の食事(炭水化物+タンパク質+脂質) | ご飯+鶏肉+サラダ |
| 1〜2時間前 | 軽食(炭水化物+タンパク質) | おにぎり+プロテイン |
| 30分〜1時間前 | 消化の良い炭水化物 | バナナ、ゼリー飲料 |
空腹でのトレーニングは?
完全な空腹状態でのトレーニングは、パフォーマンスが低下しやすいです。特に高強度のトレーニングでは、グリコーゲン(筋肉のエネルギー源)が不足すると、セットの後半で力が出にくくなります。
ただし、軽い有酸素運動や朝一番のトレーニングであれば、空腹でも大きな問題はありません。
トレーニング後の栄養
目的
- 筋タンパク質合成を促進する
- グリコーゲンを補充する
- 回復を促す
推奨する摂取内容
Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI, et al. (2017). International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 14, 20.
PubMed →| 栄養素 | 推奨量 | ポイント |
|---|---|---|
| タンパク質 | 20〜40g | 体重や筋肉量に応じて調整 |
| 炭水化物 | 体重1kgあたり1〜1.5g | 筋トレメインなら少なめでもOK |
| 脂質 | 少量 | 消化を遅らせるため大量は避ける |
タイミングの目安
トレーニング後の栄養摂取は、トレーニング前の食事からの時間で考えるのがポイントです。
- トレーニング前に十分な食事を摂った場合 → 2〜3時間以内にプロテインを含む食事を
- 空腹でトレーニングした場合 → なるべく早めにタンパク質を摂取する
1日の総タンパク質量が最重要
細かいタイミングよりも大切なのは、1日を通じた総タンパク質摂取量です。
| 目的 | 推奨量(体重1kgあたり) |
|---|---|
| 筋肥大 | 1.6〜2.2g |
| 筋力維持 | 1.2〜1.6g |
| 一般的な健康 | 0.8〜1.0g |
体重70kgの人が筋肥大を目指す場合、1日112〜154gのタンパク質が目安です。これを3〜4回の食事に分けて摂るのが理想的です。
「プロテインのタイミングを気にしすぎて、肝心の1日の総摂取量が不足している」というケースは少なくありません。まずは1日の総タンパク質量を確保することを優先して、タイミングはその次に考えましょう。セット間の休息と同じで、基本を押さえることが最優先です。
実践的なアドバイス
- シンプルに考える: トレーニングの前後2〜3時間以内にタンパク質を含む食事を摂れていれば、タイミングは十分です
- 無理に飲まない: トレーニング直後に気持ち悪くて食べられないなら、少し時間を置いてから
- サプリに頼りすぎない: プロテインパウダーは便利ですが、通常の食事で十分な量が摂れていればあくまで補助
- 水分補給を忘れずに: トレーニング中の脱水はパフォーマンスを著しく低下させます
まとめ
- 「トレーニング後30分以内」のアナボリックウィンドウは、以前ほど重要視されていません
- 1日の総タンパク質摂取量(体重1kgあたり1.6〜2.2g)が最も重要です
- トレーニング前後2〜3時間以内にタンパク質を含む食事を摂れていれば十分です
- 空腹でのトレーニングはパフォーマンスが低下しやすいので、軽食を摂りましょう
- タイミングにこだわりすぎず、まずは1日全体の栄養バランスを整えることが大切です
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