「なんのために筋トレしてるんだろう」——ふと、そう思う瞬間があります。始めたときは「かっこいい身体になりたい」「健康のため」と思っていたはずなのに、いつの間にか「やらなきゃいけないから」に変わっていたり。
ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)では、このような状態を「価値から離れている」と考えます。今回は、トレーニングにおける「価値」の見つけ方と活かし方について書いてみます。
価値と目標の違い
まず大切なのは、価値と目標は別物だということです。
| 目標(Goal) | 価値(Value) | |
|---|---|---|
| 性質 | 達成したら終わり | 方向性(終わりがない) |
| 例 | ベンチプレス100kg | 身体を通じて自分を大切にする |
| 達成感 | 達成した瞬間に満足 | 毎回の選択で感じられる |
| モチベーション | 近づくと上がり、達成すると消える | ずっと存在し続ける |
目標は「北極星」のようなもの、とよく言われます。北極星を目指して歩くことはできても、北極星に「到着」することはできない。でも、北極星があるおかげで自分がどの方向に進んでいるかがわかります。価値も同じです。
自分の価値を見つける
「なぜトレーニングをするのか?」と自分に問いかけてみてください。最初に浮かぶ答えは「痩せたいから」「筋肉をつけたいから」かもしれません。でも、もう一歩踏み込んで「それはなぜ大切なのか?」と聞いてみてください。たとえば「痩せたい」→「自分に自信を持ちたい」→「自分を大切にする生き方がしたい」。この最後の部分が、あなたの「価値」です。
自分のトレーニングの価値を探るための質問をいくつか挙げてみます。
- 自分にとって理想的な「身体との関係」はどんなものですか?
- トレーニングを通じて、どんな自分でありたいですか?
- トレーニングが自分の人生の他の領域にどんな影響を与えていますか?
- もし誰も見ていなくても、それでもトレーニングしますか?その理由は?
価値がトレーニングを支える仕組み
目標ベースのモチベーションには限界があります。目標を達成すれば燃え尽きるし、目標が遠すぎると途方に暮れる。でも、価値に基づいたトレーニングは違います。
価値に沿った行動は、その瞬間自体が意味のあるものになります。「ベンチプレス100kgを挙げた日」だけが特別なのではなく、今日ジムに行って自分の身体と向き合った、その選択自体が価値のある行動です。
ウィリングネスの考え方で書いたように、モチベーションが湧かない日でも価値に向かって一歩を踏み出すことは選べます。それは、自分の価値が明確だからこそできる選択です。
実践:価値をトレーニングに活かす
具体的に、価値を日々のトレーニングに活かすためのステップを紹介します。
- トレーニング前に30秒だけ「なぜ」を思い出す — ジムに入る前に、自分の価値を一言で思い出す
- セッション中の選択を価値に照らす — 「この追い込みは自分の価値に沿っているか?」「この妥協は価値からの逃避か、それとも身体を大切にする選択か?」
- セッション後に振り返る — 重量や回数だけでなく、「今日の自分は価値に向かって歩けたか」を振り返る
目標も価値も、両方あっていい
価値が大切だからといって、目標を持つなという話ではありません。目標は具体的なマイルストーンとして役に立ちます。ただ、目標を「北極星そのもの」にしてしまうと、達成した途端に方向を見失うリスクがある。
価値という大きな方向性の中に、目標という具体的なチェックポイントを置く。週間セット数の管理も、価値に向かって歩くためのツールのひとつだと考えると、数字に振り回されにくくなると思います。
まとめ
- 価値は方向性であり、目標は通過点です
- 「なぜトレーニングするのか」を深掘りすると、自分の価値が見えてきます
- 価値に基づくトレーニングは、モチベーションに左右されにくい持続力を生みます
- 毎回のセッションが価値に沿った行動であると意識することで、トレーニングの意味が変わります
- 目標と価値の両方を持つことで、短期の達成感と長期の方向性を両立できます
あなたの「北極星」は何ですか?その答えが、続けるための一番の力になるはずです。
科学と行動科学で筋トレを続ける
Compass で、あなたの価値に向かうトレーニングを始めよう
